日本の女性を脅かす長寿のリスク、老後の蓄え20年分足りず

長寿を祝うには十分な老後の資金を蓄えなくてはならない。世界経済フォーラム(WEF)が欧米とオーストラリア、日本などを対象にまとめた報告書によれば、寿命の伸びに老後向け資金の増加ペースが追い付かず、生活費の不足分が10年以上に相当する国もある。中でも日本の女性が最も深刻な課題を抱えているという。
報告書を共同執筆したWEF機関投資家部門の責任者ハン・イク氏は、不足分は政策当局や雇用主、個人による行動を必要とする規模であり、何らかの措置を講じない限り、高齢者は「支出を減らすか、収入を増やすか、どちらかを選ぶしかなくなる」と警告した。
(ブルンバーグ 6月14日)

日本では老後の貯蓄は2000万円必要との報告書が話題になったが、世界経済フォーラムも同様の報告書を発表している。日本の女性は20年分足りないと警告しているが、平均寿命の短い日本の男性でも不足分は15年という推計だ。

かつては、若いときに十分な貯蓄をしておくというのが、典型的な老後対策だった。しかし、マイナス金利の日本では、預金はほとんど増えない。退職後は貯蓄が減る一方となる。今後は、2000万円の貯蓄があっても、生活水準の維持は難しくなるかもしれない。貯蓄から投資へシフトしてハイリターンを狙っても、損失を被るリスクも増える。結局、「支出を減らすか、収入を増やすか、どちらかを選ぶしかなくなる」の選択では、多くの人にとって、就労することによって収入を増やすことを考えるのが無難だろう。できるだけ長く働ける社会の確立が急務だ。