介護施設 高齢者が「助手」 掃除や配膳、職員に余力

人手不足が深刻な介護業界で、高齢者を活用する動きが全国で広がってきた。25を超える都道府県でベッドメークなど補助業務に特化した仕事を担当する「助手」として採用されている。介護福祉士など資格を持つ職員には本来の業務に集中してもらう狙いだ。介護は2025年度まで55万人の人手確保が必要とされており、元気な高齢者の活躍が欠かせなくなった。
(日本経済新聞 6月7日)

介護施設で高齢者が要介護者を介護する姿は珍しくなくなった。介護福祉士などの専門職の採用が難しくなっている中、資格を必要としない業務については、積極的に介護助手に任せて、全体のマンパワーを確保しようとすることは、至って合理的な判断だ。高齢者にとっても雇用の場が拡がるのは歓迎すべきことだ。

最近では、高齢者の雇用は介護施設だけでなく、病院のヘルパー職へも拡がっている。特に、長期入院のための療養病床を持つ病院では、ヘルパーの需要は大きい。大都市圏では、介護施設と療養病院との間で、ペルパー人材の獲得競争が激化しているところもあるほどだ。その結果、若い准看護師よりもシニアのヘルパーの人件費の方が高くなっている地域もあり、准看護師が、逆に、ヘルパーの仕事をカバーしている例もある。雇用する側には、ヘルパーの業務プロセスを高齢者でも働きやすいものに改善するとともに、ヘルパーの生産性を上げて、少ないヘルパーで業務をこなせる体制を作る努力も求められている。