70歳まで再雇用 大手行も りそな、65歳から延長

定年後の社員らを再雇用する際の上限となる年齢を70歳に引き上げる銀行が相次いでいる。先行していた地方銀行に続き、りそなホールディングス(HD)が10月に大手行で初めて導入する。銀行業界は不良債権の処理に追われた2000年前後の採用抑制で人員構成がいびつになっている。新卒採用を抑制しているほかの大手行で同様な取り組みが広がる可能性もある。(日本経済新聞 5月9日)

バブル崩壊後、不良債権処理に追われていた銀行業界は、新卒採用を厳しく抑制していた。そのひずみが、現在の人員構成をいびつなものにしている。特に、2000年前後に経営破綻の危機にあったりそな銀行は、当時ほとんど採用できていない。

銀行業界では、支店の削減に伴い、大規模なリストラが行われているが、一方では、必要な人材を確保できない業務もある。AIやRPAの導入によって行内のルーチンワークの自動化は進んでも、顧客や取引先とのコミュニケーションなどは人でなければできなし、その「人」の能力が競争力の源泉のひとつだ。たとえば、バンク・オブ・アメリカは、4,500万の顧客に対する財務アドバイスにAIを活用しているが、顧客が最後に信頼するのは、AIの性能ではなく、AIを使う担当者の能力だ。人員構成のアンバランスを補正し、行員が提供する付加価値の水準を維持するには、AI全盛の時代となっても、シニアの経験を活かすことが、銀行業界にとって重要になる。