65歳超雇用の義務化反対 日商、東商が意見書

日本商工会議所と東京商工会議所は18日、65歳を超える継続雇用を一律に義務化することに反対する意見書を公表した。助成金の拡充など積極的な高齢者雇用につながる政策を通じ、企業の自主的な取り組みを後押しするよう政府に求めた。

提言では、高齢者は体力や意欲などで個人差が大きく、組織の若返りの面でも課題があるとして、柔軟で自由な方法によって雇用を推進する必要があると指摘した。大企業のOB人材と中小企業をマッチングする事業の創設検討や、働き続けることへの動機づけになるような「在職老齢年金」の見直しを要望。両会議所の会頭を務める三村明夫氏は18日の定例記者会見で「元気な高齢者にはできるだけ働いてもらいたい。そのための条件を整えてほしい」と述べた。両会議所の調査では、深刻な人手不足を背景に中小企業の約7割が65歳超の高齢者を既に雇用している。一方、雇用義務化には半数が反対した。(SankeiBiz 4月18日)

65歳超の高齢者の雇用については、大企業よりも中小企業の方が積極的だ。中小企業の方が人手不足がより深刻だとも言えるが、給与水準が低い分、中小企業にとって高齢者の雇用はコスト・パフォーマンスが良いとも言える。

しかし、そのような状況にあっても、中小企業は、65歳超の高齢者の雇用義務化に以前から反対してきた。企業によって経営環境が大きく異なり、かつ、高齢になればなるほど高齢者の能力にも個人差が広がる中、すべての企業にすべての高齢者を雇用することが義務付けられるのは、中小企業にとって負担が大きいと感じているからだ。この状況を打開するには、企業を越えた労働力の流動性を確保するよう労働市場の変化を促すことが重要になる。行政は、企業に助成金を支給して継続雇用を促進することよりも、シニア人材と企業とのマッチングの支援にこそ注力すべきだ。