三井住友銀、最短30歳で管理職に 定年65歳に延長

三井住友銀行は2020年1月をめどに、最短で入行から8年で管理職に登用する人事制度を導入する。一方で定年は65歳に延ばし、シニアの給与を引き上げる。若手・中堅、ベテランを問わず能力のある人材はきちんと処遇し、長く働ける環境を整える。年次意識が強いメガバンクでも若手の登用が進めば、日本の伝統的な雇用慣行を崩す一例になりそうだ。
(日本経済新聞 4月16日)

管理職に登用する年齢を引き下げ、同時に、定年を延長し、60歳以上の待遇を良くするということは、年功序列の人事制度から成果主義へのシフトを意味する。つまり、30歳前後で地位や給与に差がつき、その差は50歳になればさらに大きくなるが、そのかわり50歳を越えてもそれほど給与は下がらず、本人が望めば65歳まで出向することなく銀行員でいられるという制度だ。銀行にとっては、行員の成果と待遇のバランスを取りやすい合理的な制度とも言える。シニアの行員にとっても、取引先への出向以外に銀行に残るという選択肢が増えるのは良いことだろう。

また、若手の人材確保の観点でも効果が期待できる。銀行業界は足元の大規模なリストラの影響もあって、学生の人気は落ちている。特に、優秀な学生は、若いうちから戦略的な仕事を担当することのできるコンサルティング・ファームなどへ流れているのが現状だ。若くして管理職になれるチャンスがあるとなれば、銀行の人気復活へつながる可能性もある。