働く高齢者増 期待…予防医療 財政支援強化

政府は病気・介護の予防強化で健康寿命を延ばし、「元気な働く高齢者」の増加を図る考えだ。医療・介護費の抑制と、保険料や税金の担い手確保を同時に実現する狙いがある。企業の継続雇用年齢の65歳から70歳への引き上げと合わせ、安倍内閣が掲げる全世代型社会保障改革の柱とする。
(中略)
厚生労働省などは、予防で発症や重症化のリスクを減らせる生活習慣病に照準を合わせている。2015年度に保険診療で医療機関に支払われた医科診療費30兆461億円のうち、がんや糖尿病などの生活習慣病は34・5%を占めた。
(読売新聞 3月21日)

寿命が延びる中、もし、健康寿命が延びなければ、介護が必要な期間が長くなることになり、本人にとっても社会にとっても負担が大きくなる。健康寿命の延伸は、国を挙げて取り組むべき課題だ。医療費の抑制という観点では、生活習慣病に焦点を当てるというのも合理的な判断だ。

加えて、介護期間を短縮し、「元気な働く高齢者」を増やすという観点では、介護が必要となる原因の発生を抑制する努力も重要だ。たとえば、骨折が原因で寝たきりになる高齢者も多い。また、認知症になって一人で生活できない人も少なくない。これらの高齢者は、医療費をそれほど多く使っていないのかもしれないが、働く高齢者でなくなっていることには変わりはない。要介護に至る原因を抑制する社会的な取り組みもまた、求められている。