おもてなし担い手求む 加賀温泉郷の宿泊業界

石川県は二〇一九年度の当初予算案に、宿泊業の人手不足解消につながる新規事業の費用を盛り込んだ。働く意欲があるものの、就職活動まではしていない女性や高齢者を探し、いしかわ就職・定住総合サポートセンター(ILAC)への登録を勧める事業に百八十万円を充てた。
 ILAC職員が、公共施設で開かれる女性や高齢者の集いに出向いて勧誘したり、大型スーパーの一角でキャンペーンを開く。県労働企画課の担当者は「人手不足の解消には、ここまでやるのかというぐらい地道に人材を掘り起こすしかない」と狙いを話す。
(北陸中日新聞 2月20日)

地方の宿泊業での人手不足は深刻だ。都市部では従業員を極力減らした低価格のホテルなどの業態もあり得るが、地方の温泉宿となると、手厚いおもてなしが特長となるだけに、人によるサービスを大事にする必要がある。一方、地方では若い労働力は不足し、人集めは至難の業となっている。

その中で、増えているのは外国人の雇用だ。観光客に占める外国人の割合も増加を続けていることもあり、宿泊業で働く外国人も増えている。外国語が堪能な従業員がいることは、旅館やホテルにとっても、外国人観光客にとっても心強い。

ただ、日本を訪れて日本の雰囲気を堪能しようとしている外国人にとっては、外国人の従業員ばかりではなく、そこで働いている地元の人々と触れ合うのも楽しみの一つだ。その点、地域の歴史や風土をよく知る地元の高齢者は格好の案内人となる。加賀温泉郷のシニアスタッフには、裏方だけでなく、是非、フロントでも活躍して欲しい。