変わる生保シニア 日本生命など65歳に定年上げ

生命保険各社で、定年を見直す動きが加速している。日本生命保険や明治安田生命保険が現在の60歳から65歳に引き上げるほか、一定の年齢で管理職から外れる「役職定年」の制度をやめる金融機関も増えている。入社年次や年齢で画一的に管理する人事制度から脱し、働く意欲と能力の高いシニア人材を活用して将来の人材不足に備える。
(日本経済新聞 11月27日)

金融機関では、役職定年を迎えた管理職は、子会社や取引先に出向することが一般的だった。しかし、大量に採用したバブル世代が一斉に役職定年を迎えると、他業種に比べて取引先が多い金融機関といえども、出向先を探すのは厳しくなる。加えて、バブル世代のすぐ下の世代は、バブル崩壊後に採用を絞ったため層が薄い。そうなると、バブル世代の一斉退職は避けて、現役を続けてもらい、社内にノウハウを残す方が賢明だということになる。定年延長や役職定年の廃止に踏み切る金融機関が出てくるのは、自然な流れだ。

問題は管理職の高齢化が進むことだが、これに対処するには、管理職の定義を見直すことも必要になる。課や部という組織を管理する役職はそれほど多くは必要ない。むしろ、専門手的なノウハウを活かして業務を管理する役職が重要だ。今後は、組織を管理するマネージャーとしてだけでなく、業務を管理するコントローラーとして、高齢者が活躍する場が拡がっていくだろう。