高齢者雇用「新賃金モデルを」/青森社会研

青森地域社会研究所は18日までに、高齢者雇用について考察した調査レポート「働くシニアの賃金事情と企業対応」を発表した。本県企業のアンケートなどから、どの業種も今後、60歳を超えて働く高齢者が増えると見込んでいるが、定年以降の賃金カーブは定年時の年収から大きくダウンした水準での横ばい―をイメージする企業が最も多いことが分かった。同研究所は人手不足の時代に高齢層のモチベーションを維持し、技術やノウハウを活用するためには「個々の労働者ごとに組み立てる、新たな賃金モデルが必要」と提言している。
(陸奥新報 11月19日)

仮に、賃金が労働の成果に比例して支払われているのなら、定年の前後で賃金水準が大きく変化することはない。定年で賃金が低下するのは、定年前の50代の賃金が成果に比べて割高であるのに対して、定年後の賃金が割安になっているためだ。この傾向は、比較的50代の賃金が高い大企業だけでなく、中小企業にも見られる。その結果、大都市圏だけでなく、中小企業の比率の高い地方においても、青森地域社会研究所の調査結果が示すように、定年後の賃金を大きく下げる企業が多い。

もっとも、定年後の賃金を下げるのは人員に余剰があった時代の制度と意識が残っているからだとも言える。今や、人手不足に悩む企業は、賃金を引き上げてでも高齢者の雇用を確保しようとしている。人手不足は大企業よりも中小企業の方がより深刻だ。また、大都市圏よりも地方の方が人材確保は難しい。青森地域社会研究所が提言する「新たな賃金モデルの必要性」は、むしろ、青森県のような地方の方が高いだろう。今後、地方から新たな賃金モデルが提案されてくることを期待したい。