66歳以上で働ける企業増 人手不足で活用拡大

厚生労働省が従業員31人以上の企業を対象に実施した調査によると、希望者が66歳以上まで働ける企業の割合は2017年に6.7%に上った。前年に比べ0.9ポイント上昇し、伸び率は過去5年で最も高くなった。企業には従業員本人が希望すれば65歳までは雇用する義務があるが、人手不足に対応するため、高齢者の活用が進んでいる。
産業別にみると、宿泊業・飲食サービス業(10.2%)、運輸・郵便業(8.7%)が多い。希望者全員が働けるよう取り組んでいる内容としては「定年の廃止」が最も多く、対象企業の42.7%を占める。「66歳以上までの継続雇用」(32.8%)、「66歳以上定年」(24.5%)と続く。
(日本経済新聞 6月4日)

65歳を超えても働ける企業の割合は着実に増えている。今回の厚生労働省の調査でもその傾向が改めて確認された。今回の調査は、従業員31人以上の企業が対象となっているが、より零細な企業も含めると、66歳以上まで働ける企業の割合は、さらに大きくなるだろう。特に、定年延長や定年廃止に踏み込む企業は、規模の小さな企業の方が多い。人手不足がより深刻だという事情もあるが、50歳以上の給与がそれほど高くなく、高齢者を雇用し続けてもそれほど負担にならないというのも要因のひとつだ。

つまり、給与水準を低く抑えれば、企業にとって、希望者が66歳以上まで働ける制度の導入は容易になる。ただ、それだけでは希望者が増えない。目指すべきは、就労を希望する高齢者が働き続ける社会であると同時に、より多くの高齢者が就労を希望する社会だ。その実現のためには、雇用継続の制度だけでなく、給与や働き方の面で就労意欲を喚起する施策が必要になる。