埼玉県の「70歳現役」認定77社、業種偏重に課題も

埼玉県が2017年度に始めた定年を70歳以上に引き上げる「生涯現役実践企業」の認定制度で、3月末までに77社が認定を受けた。15~64歳の生産年齢人口が減少するなか、高齢者が元気なうちは働ける環境を整え、労働力低下を抑える狙いで、一定の成果を上げている。ただ、業種に偏りがあるなど課題も多く、県は取り組みを強化する。
県は16年度に、66歳以上の継続雇用など一定条件を満たす企業を認定・支援するシニア活躍推進宣言企業の制度を開始。生涯現役実践企業はその上位に位置づけ、定年の廃止または70歳以上への引き上げを実施している企業を認定する。最大200万円を助成する70歳雇用推進助成金を創設し企業の取り組みを促した。
(中略)
ただ認定を受けた77社は技術職や資格職が多い製造、医療・福祉、建設の業種に偏る。
(日本経済新聞電子版 4月16日)

技術や資格を必要とする業種で高齢者の雇用が多いのは当然ではある。これらの業種は元々人手不足であり、資格に定年はない。若年層が十分に確保できなければ、高齢者でも確保したいと企業が考えるのは自然だ。むしろ高齢者の方が、経験とノウハウがある分、歓迎されることもある。

一方、技術や資格を必要としない業種での高齢者の雇用の拡大には、高齢者が培ってきた経験やノウハウを活かせる職場が広がることが重要だ。ただ、中小企業の場合は、職種が限られていて、企業内で十分な雇用を生み出すことができない場合もある。今後、行政としては、企業の壁を越えて、地域の複数の企業間で高齢者の労働力を共有していくという取り組みも必要になってくるだろう。