65歳超の雇用、非正規7割 再雇用時に正規から転換

昨年1月から7月までに65歳を過ぎてから新たに雇用、または再雇用された高齢者約65万人のうち、70%がパートや有期契約などの非正規であることが厚生労働省の調査で分かった。
昨年1月から、これまで対象外だった65歳を過ぎて就職した人にも雇用保険が適用されるようになったことを受け、加入者のデータを分析した。
男女別では、女性はパートが60%、契約が18%、派遣が3%。非正規が81%を占め、正社員は19%にとどまった。男性はパート35%、契約26%、派遣4%、正社員35%だった。
業種別の割合は、タクシー運転手を含む旅客運送業、警備や清掃などのサービス業に就く人が多かった。年齢別では、65~69歳が約39万人、70~74歳は約20万人、75~79歳は約5万人で、80歳以上も約8千人いた。
(産経ニュース 1月11日)

65歳を過ぎて就職した人も雇用保険が適用されるようになったことで、雇用保険のデータは、高齢者の就労状況を分析するための情報の宝庫となった。
ただ、分析結果としては、今のところ、それほど驚くべき結果ではない。高齢者については、就労する側も雇用する側も賃金の高さよりも多様な就労形態を希望するため、フルタイムの正社員より非正規の方が多いのは自然だし、男性よりも女性の方が非正規の割合が多いのも他の年代と同様だ。75歳以上になると就労者が大きく減少するのも、日本の健康年齢の平均値と符合している。

一方で、この分析結果で注目すべき点もある。その一つは、業種の偏りだ。高齢者の仕事としては、運転手、警備、清掃が多いとも言えるが、今回の分析は、65歳を過ぎてから新たに雇用、または再雇用された高齢者が対象であったことを考えると、他の業種では、新規雇用や再雇用ではなく、雇用継続で働いている人が多いとも言える。今後、高齢者の活躍の場が年齢に関係なく拡大していくためには、運転手、警備、清掃のようなサービス業以外の業種でも新規採用が広がる必要がある。