高齢者の葉っぱビジネスの経験伝授、農業活性化へ

和食に添える葉や花などの「つまもの」を高齢者が商品化する「葉っぱビジネス」で知られる徳島県上勝町出資の企業「いろどり」が、ソフト開発のサイボウズ(東京)などと連携し、来年から他地域の農業活性化支援事業に乗り出す。現場に人材を送り込み、過疎地で稼げる産業を生み出したノウハウを伝授。消費地と直結した受発注システムも提供し、地域おこしに加勢する。
 地域の農業を担う企業がIT企業と組んで各地の産業化を後押しするのは珍しいといい、成果が注目されそうだ。新事業名は「生涯現役ネットワーク」。小規模な生産者グループや自治体を想定し、今後3年間に10地域を支援する予定。
(京都新聞 12月16日)

徳島県上勝町の「いろどり」は、日本料理店に「つまもの」として使う木の葉を提供するビジネスを展開して成功したことで知られている。上勝町は、人口千数百人、高齢者比率51.5%の山間の町だが、「いろどり」は、山の草木という資産と高齢者のノウハウを活用して、ここで2億6千万円の事業を創り出した。この成功を学ぼうと、上勝町には、インターンシップ研修生として年間百名ほどの若者が訪れ、中には移住してくる者もいる。

こうしたノウハウの伝授をインターンシップや講演会だけでなく、ITシステムの提供を含めた体系化した事業として、全国の地域に提供することは、高齢化と共に衰退していく過疎地の農業を再び活性化させることに寄与する。「いろどり」の成功は、今までのやり方のままでは高齢化は農業の衰退につながるが、やり方次第では高齢者が新たな事業を創造できることを教えてくれている。生産者と市場や消費者との距離をいかに短くし、情報共有を密にするかは、葉っぱビジネスに限らない日本の農業が抱える一般的な課題だが、「いろどり」の経験とノウハウは、今後、この課題達成に貢献していくことだろう。