シニア世代も売り手市場、即戦力に企業注目

 “人生100年時代”とも言われる中、55歳以上向けの合同就職面接会などが活況を呈している。定年後も働き続けたいと思う人が増える一方、少子化や景気回復による人手不足、結婚・出産に伴う女性の休職や退職に対応できる即戦力として、企業の側もシニア層に注目。職種は徐々に広がり、正社員やフルタイム契約、70歳以上も就労可能-といった求人も増えているという。
29日にハローワーク姫路などが開く「高年齢者就職面接会」。55歳以上を対象にした兵庫県内最大規模の合同面接会で、初開催の昨年より10社多い51社が参加企業として名を連ねる。
神戸市内のハローワーク灘とハローワークプラザ三宮も10~11月、同様の合同面接会を開催。参加した大手マンション管理会社は約10年前に定年を65歳から69歳に延長した。担当者は「居住者との関係で人生経験が生きることが多いし、忍耐力もある。70歳を過ぎても引き続き働いてもらっている人もいる」と話す。
(神戸新聞 11月26日)

人手不足を緩和する人材の供給源として期待が高まっているシニア層だが、既に、一部の業種ではシニア層の確保も難しくなっている。処遇や賃金は上昇傾向だ。ハローワークが斡旋する求人は、警備やマンション管理など特別なスキルがなくても応募することができる比較的単純な作業の職種も多いが、それでもシニアの求職者を集めるのが難しくなってきた。

シニアのさらなる労働市場への参加を促すためには、正社員化や賃金引き上げのような待遇改善だけでなく、勤務時間の柔軟な設定や作業負荷の軽減など、働きやすい環境の整備も必要だ。たとえば、モスバーガーの「モスジーバー」、マクドナルドの「シニアクルー」のようにシニアの採用に積極的なファストフード業界では、勤務時間の自由度を上げ、副業を認めるなど、シニアの働きやすさの改善に努めている。今後、シニア人材の獲得競争が激化する中、こうした労働環境の改善も他の業界に拡大していくだろう。