配送用電動自転車アシスト力引き上げ、高齢者の雇用促進

住宅地での宅配便の配送などで使われているリヤカー付き三輪電動自転車について、現行ではペダルをこぐ力に対して補助するアシスト力が最大2倍まで認められているのを、3倍まで引き上げる道路交通法施行規則の改正案を警察庁がまとめた。配送業界の人手不足が深刻化するなか、配送員の負担を軽減することで女性や高齢者の就労を促す。
起伏の多いエリアでの配送をめぐっては、配送員の負担が大きく、女性や高齢者の雇用が進まないことが問題となっていた。
そのため、経済産業省は2014年9月以降、特例措置として東京都町田市や横浜市などで、アシスト力が3倍のリヤカー付き電動自転車の利用を認めていた。3倍であっても安全性が確認されたため、警察庁は改正に踏み切ることになったという。
(毎日新聞 9月1日)

体力に自信のない人でも、機械の力を利用すれば、できる仕事の幅は広がる。配送に使うリヤカー付き三輪電動自転車はその良い例だ。今回の道交法改正による規制緩和によって、配送業界における高齢者や女性の雇用機会は、確実に拡大するだろう。

電動自転車と同様に、現在、人の動作をアシストする機器の開発が急速に進んでいる。身体に装着して膝や腰の力を補う器械は、すでに、実用化の域に達した。装置が小型、軽量化し、価格が低下すれば、医療や介護の現場だけでなく、日常生活や職場に広く普及するだろう。こうした技術的なイノベーションが、従来の労働の常識を変え、社会的なイノベーションを呼び起こすことも期待できる。官民が協力して、このイノベーションを積極的に推進していくべきだ。