サービス業など高齢者を積極活用、「ゆるい」働き方で貴重な戦力に

厚生労働省によると6月の正社員の有効求人倍率が1倍を超えた。非正規社員だけではなく正社員の人手不足感も強まる中、サービス業を中心に60代以上の高齢者層の活用が広がっている。短時間の軽作業を中心に病気の時に気軽に休めるなど「ゆるい」働き方にすることで貴重な戦力となっている。
 東海地方地盤のドラッグストア、スギ薬局(愛知県大府市)は2015年5月から65歳以上の高齢者の働く場を創出する「シニアいきいき倶楽部プロジェクト」を開始。現在、愛知県西尾市と碧南市の17店で高齢者を雇用しているが、来年2月までに三河地方の100店に拡大する。
 このプロジェクトは、高齢者を「シニアアソシエイツ」として請負契約し、いつでも好きな曜日に店舗で働いてもらう仕組み。主に開店前の時間帯に商品の陳列を担当する。
(SankeiBiz 8月16日)

高齢者の雇用を促進するには、柔軟で多様な勤務体系を用意する必要がある。しかし、短時間で病気の時に気軽に休めるとなると、職場全体で労働力を一定水準維持するのは大変だ。特に、コンビニやドラッグストアなど、店舗単位に店員の勤務シフトを考えなければならない職場では、制約が多くなり急な休みへの対応が難しくなる。

この点、スギ薬局は、高齢者の都合を優先し、シフトに穴があいた場合には、パートや正社員との組み合わせで組織的にカバーしている。こうした制度は、育児や介護で勤務時間に制約のある人々の雇用を拡大する上でも重要だ。

将来、短時間勤務の雇用形態がより一般化してくれば、短時間勤務者同士でカバーしあうことも可能になる。コンビニやドラッグストアなどは、特定地域に集中的に出店する地域ドミナント戦略をとっている企業が多い。一人の短時間勤務者が、近隣地域の複数の店舗のバックアップにまわることも不可能ではない。各店舗ではなく、地域全体で勤務シフトの最適化を推進すれば、高齢者のような短時間勤務者の雇用機会は、さらに拡大するだろう。