バイト・パート応募、増える主婦とシニア

アルバイトやパートを探す人に占める、主婦や中高年の割合が高まっている。主要な求人情報誌や求人サイトの利用者に占める比率は過去数年で10ポイント前後高まった。人手不足による時給の上昇や応募条件の緩和を受け、新たに働き始める人が増えていることが背景だ。
アイデム(東京・新宿)の求人サイト「e―aidem(イーアイデム)」は登録者に占める35~49歳女性の比率が2016年は30%弱になり、12年の20%から増えた。
リブセンス(東京・品川)の求人サイト「ジョブセンス」も応募者に占める主婦や主夫の割合が10年と比べ1.9倍に高まった。14年以降は「60~70代の男性の割合が顕著に増えた」(同社)。
(日本経済新聞 5月22日)

求人側の時給の引き上げや応募条件の緩和に呼応して、求職者が女性やシニアに広がってきていることは、労働市場の需給バランスを維持する上でも、より広範な人々に就労の機会を提供する上でも望ましい。
ただ、給与の上昇が顕著なのはパートやアルバイトであって、正社員の給与はそれほど上昇していない。自動車のように輸出比率の高い産業では、逆に、ボーナスの減額も相次いでいる。非正規労働者の時給を上げ、一部の優秀な非正規労働者を正社員にして人材の囲い込みをする一方で、もともと新卒で入社した正社員の給与は増えないという構図だ。非正規雇用と正規雇用の格差が是正されつつあるとも言えるが、全体として企業の人件費は抑制されているとも言える。
一億総活躍社会に向かって前進するには、正社員の中途採用においても、求人、求職ともに女性とシニアの割合が増加していく必要がある。