シルバー人材センター会員数増 静岡

高齢者向けに仕事を受託して提供するシルバー人材センターの静岡県内会員数が2015年度、5年ぶりに増加した。県シルバー人材センター連合会への取材で分かった。勤め先での雇用延長を終えた高齢者が「生きがいのため」「生活費の足しに」と就労意欲を示し、新規入会するケースが増加。女性会員数も伸びている。
(中略)
15年度は就業延べ人員、契約金額のいずれも増加するなど、これまでの縮小傾向に歯止めがかかった。同連合会によると、15年度の県内34センターの会員数は2万1767人で、14年度より88人増えた。都道府県別では全国9位。就業延べ人員は約225万5千人で、伸びたのは9年ぶり。大部分がシルバー人材センターの指揮下で働く請負・委任だが、勤務先の指揮下で働く派遣が大きく伸びている。
県シルバー人材センター連合会の担当者によると、入会できるのは60歳から。ただ、定年延長や再雇用などで60歳を超えても同じ職場や関連企業などで働く人が増え、10年度をピークに会員数が減少していた。増加に転じたのは、定年延長などの影響が一段落したことも背景にある。
(静岡新聞 11月20日)

シルバー人材センターの会員数は、静岡県だけでなく、全国的に見ても下げ止まっている。定年延長や再雇用が全国の企業にかなり浸透し、新たにこれらの制度を導入する企業が減ってきているのが直接的な原因ではあるが、シルバー人材センターが高齢者の就労に一定の役割を果たしていると評価されていることも要因のひとつだ。

シルバー人材センターが紹介する仕事は、軽作業で短時間のものも多いが、より多くの高齢者に社会参画の機会を提供する上では、そうした就労形態の多様性も重要だ。全国のシルバー人材センターを合計すると年間3千億円程度の契約金を計上しており、大企業並みの売上と言える。個々の契約の規模は小さくとも、全体でこれだけの規模があれば、大きな社会的な役割を果たすことができる。福祉や子育て支援など社会的なニーズの大きい分野を中心に、今後もその活動の範囲が拡大していくことを期待したい。