外国人労働者受け入れ 介護や建設、政府検討

政府は27日に初会合を開く「働き方改革実現会議」で、外国人労働者の受け入れを検討する。介護や育児、建設など人手不足の分野で外国人労働者を受け入れるため、法整備をめざす。あらかじめ分野ごとに受け入れ数を決めて管理する制度を設け、単純労働の外国人受け入れに事実上、門戸を開く。

現在、外国人材の受け入れを巡っては、事実上研究者や経営者といった「高度専門人材」と「技能実習制度」を使った実習生、経済連携協定(EPA)を通じた受け入れに限っている。ただ、国内の生産年齢人口は2013年に8000万人を割り、足元では7700万人まで減少した。特に介護など潜在需要の高い分野で人手不足が深刻だ。

(中略)

これまでの実習制度では民間のブローカーが介在し、一種の不法労働となるケースも多かった。そのため、人手不足の分野を特定して、政府が相手国と2国間協定を結ぶ。国同士の交渉とすることで、民間が違法な形で介在する余地をなくす。これに伴い、実習制度の縮小も視野に入れる。

さらに国内の労働市場への影響を考え、国、分野別の受け入れ数管理を検討する。外国人の就労状況を適時適切に把握する仕組みを構築し、オンライン化による在留資格手続きの導入も議論する。
(日本経済新聞 9月27日)

生産年齢人口の減少が続く中、日本の潜在成長率を維持するには、外国人労働者の受け入れ拡大が不可欠である。それがわかっていても、今日まで、単純労働への外国人の受け入れに制約が課せられてきたのは、その社会的コストに対する懸念が強かったからだ。

米国や英国、ドイツは、移民によって経済成長を維持してきた。しかし、それらの国々でも、移民と雇用を奪い合う層を中心に、さらなる移民の増加に否定的な世論が力を増している。移民の増加は、外国人労働者によって安価な労働力を得られる層と外国人労働者と労働市場で競合している層との利害の対立や、外国人と自国民との文化的、宗教的な対立をもたらした。

日本政府が検討している相手国との2国間協定や受け入れ数管理は、外国人労働者の数をコントロールするという意味では役に立つ。ただ、入国後の就労状況を完全に管理するのは難しい。入国後の転職はありうることを前提にした制度設計を行い、将来の社会的な摩擦を最小限に抑えることも考えておく必要があるだろう。