次世代農業「植物工場」高齢者や障害者の雇用促進

農業就業人口の減少や就農者の高齢化、さらには耕作放棄地の増大、異常気象の頻発など、人材と環境の両面で日本の農業は大きな課題を抱えている。そこで期待が集まっているのが、IT(ICT)等の先進技術を活用して生産管理や品質・生産効率などの向上を実現する「植物工場」だ。

なかでも、製造業は植物工場事業に積極的で富士通、シャープ、トヨタ自動車、日本GEなどの大手企業を筆頭に、多くの企業が新たな収益源として事業化を進めている。最近では、富士電機が東京工場で、燃料電池の排熱や排気を栽培に使う省エネルギー型の植物工場を稼働させるなど新たな動きを見せている。

植物工場とは施設内の温度、光、炭酸ガス、養液などの環境条件を自動制御装置で最適な状態に保ち、作物の播種、移植、収穫、出荷調整まで計画的に一貫して行う生産システムのことを指す。施設内での生産のため、天候に左右されることなく作物を周期的に安定供給でき、病害虫の被害を受けずにすむほか、高齢者や障害者の方の雇用につながるなどの利点がある。
(ZUU online 6月6日)

植物工場は、路地栽培とは異なり、農業生産を屋内でシステム化して行う。このため、必要とされる農作業は、従来のイメージとは異なり、体力に頼る重労働というよりは、生産システムの監視と操作が中心となる。
施設内には害虫が入り込まないため、殺虫剤の散布は必要なく、肥料は養液に混ぜて自動的に供給される。さらに収穫もロボットで行うことができ、トラクターやコンバインを運転する必要もない。

こうなると、体力に自信のない高齢者でも動ける間は働くことができる。極論すれば、動かなくても、ネットワーク経由で自宅のパソコンから生産システムの監視と操作をすることもできる。
これまでは、農業の機械化が農業従事者の高齢化を支えてきた。これからは、農業の工場化がさらなる高齢者の活躍の場の拡大を進めていくだろう。