シニア、再就職の履歴書…強みや豊かな経験PR

春は企業の求人情報が一年で最も多い季節だ。「もう一度働きたい」と考えるシニアにとって再就職の好機。履歴書など応募書類の書き方を誤らないようにしたい。作成方法を専門家に聞いた。
 55歳以上を対象に履歴書の書き方セミナーを開く「東京しごとセンター」(東京)の渡辺吉靖さんは、「シニアに対しては『頑固そう』『体力的に難しい』など否定的なイメージを持つ企業担当者が少なくない。履歴書に貼る写真は血色がよくはつらつとした表情のものを」と話す。
 撮影時の服は色の濃いめのスーツなどがいい。「駅などにある証明写真機だと、自分一人で写真の出来を判断しづらい。写真館で撮ってもらった方が安心です」と渡辺さん。
職歴欄にはなるべく無職の期間がないよう、アルバイトやパートをした期間があれば必ず書く。「資格取得のため勉強」など、努力していた事柄を書くのもよい。また、中途退職の場合は人事担当者が退職理由も気にするので、「母の介護で」「事業所閉鎖により」などと添える。
 手書きでもパソコン作成でもどちらでも良い。渡辺さんは、「手書きなら書体を崩さず丁寧に書くことで、誠実さが伝わる。パソコンなら、さりげなくパソコン技能があることを印象づけられる」と指摘する。
 一方、再就職の場合、履歴書のほかに今までどんな仕事をしてきたかを示す職務経歴書が必要になる場合が多い。シニアの再就職を支援する2級キャリアコンサルティング技能士の菊地克幸さんは、「若者にはない職務経験の豊かさを人事担当者にアピールできるので、求められなくても添付してみては」と話す。
 職務経歴書に定型はない。菊地さんは自己PRを書いたうえで、今までの仕事を職務別にまとめる方法を勧める。
 自己PRのコツは、自分の強みや経験を求人内容に合うように書くこと。例えば、マンション管理人の求人なら対人能力の高さや細やかな気遣いが求められる。「クレーム処理経験5年、営業経験10年。対人スキルに自信がある」などと書けば、企業側の食指も動く。
 ハローワークなどで応募書類の添削も受けられる。菊地さんは、「応募前に内容を第三者に見てもらっておけば安心です」と助言している。

(読売新聞 2月12日)

シニア世代の再就職では、今までの職務経験を記述する職務経歴書の内容が重要となる。多くの職場を異動してきた人は、詳しく書くと長くなり過ぎて総花的な印象となり、何が得意な人なのかが分かりにくくなるが、逆に、簡潔に書き過ぎると具体的に何ができる人なのかが伝わりにくい。

詳細版の職務経歴書をひな形としてひとつ作った上で、個々の求人内容に合わせて職務経歴の重みづけを変え、その求人向けの個別の職務経歴書を作成するとよいだろう。

履歴書や職務経歴書を通じて、簡潔な文章で、求職者と求人企業が誤解のないより良いコミュニケーションができることが望ましい。それは、シニアに限らず、新卒採用も含めて就職・採用活動では一般的に言えることだが、職務経歴の長いシニアには、特に、重要なことだ。