マレーシアの高齢者人口、2030年までに年平均4.5%拡大

マレーシアの大手金融RHBバンク傘下のシンクタンクRHBリサーチは11月8日、マレーシアにおける65歳以上の高齢者人口が、2022年から2030年にかけて年平均増加率4.5%で拡大し、増加率としては調査対象国の中でシンガポールに次いで高くなるとの予測を発表した。長期的には、世界銀行の推計に基づき、マレーシアの高齢者人口の比率は2056年までに20%に到達するという。
(ジェトロ 11月16日)

少子高齢化は日本や先進国だけではない。所得が向上すれば、発展途上国でも少子高齢化は進んでいく。お金がないから子どもを産まないのではなく、経済的に豊かな社会にいると子育て以外のことにお金を使いたくなるからだ。マレーシアの場合、日本ほど少子高齢化が進んでいるわけではない。ただ、高齢者人口の増加率は高く、労働人口の減少が予測されている。

日本は、人手不足の解消策のひとつとして、外国人労働者を増やす政策に舵を切った。しかし、現在、日本への労働者の供給源とである東南アジアは、近い将来、自国内の労働力不足に悩まされるようになり、労働力の輸出は難しくなる。日本の介護産業に従事しているマレーシアの人々も、マレーシアの介護産業に帰っていく可能性が高い。さらに、円安と日本の低賃金のため、日本の若者が外国で働くことを選択するようになってきた。たとえば、英国で働くことを希望する日本人が増えたため、英国はワーキングホリデー枠を増やしている。

労働力が国境を越えて移動する現代では、競争力のある国に労働力が向かう。日本としては、高齢者や女性などの国内の潜在労働力の活用を進めるとともに、労働生産性を向上させて、国際的に見て魅力のある労働環境を維持する必要がある。