年金の所得代替率、2.2ポイント改善の可能性 GPIF運用好調で

株高が年金財政の追い風になっている。厚生労働省の試算によると、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用が好調なら、現役世代の手取りと比較した年金額の割合である所得代替率について、2057年度は想定より2.2ポイント上振れする可能性がある。
GPIFの25年度の運用収益は41兆円のプラスとなり過去2番目に多かった。国内外の株価上昇の恩恵で6年連続のプラスとなった。世界的な株高傾向は続いており、足元でも一定の運用益が出ているとみられる。年金をどれだけ受け取ることができるかは、所得代替率が指標となる。40年間会社員として働いた夫と専業主婦の妻という「モデル世帯」の年金が、現役世代の男性の手取り収入の何%にあたるかを示す。
(日本経済新聞 7月30日)

GPIFは資産を国内外の株式と債券に4等分して運用している。昨年度は株式による運用が好調だった。運用益が大きければ、年金の支給額も増やすことができる。現在年金を受給している高齢者よりも、将来年金をもらうことになる若い世代にとってメリットが大きい。年金支給額を物価上昇率より低く抑えるマクロ経済スライドを早く終了させることができ、その後は、物価上昇並みに年金受給額を増額できるからだ。

しかし、株高によって資産に占める株式の割合が増えたことで、今後、株を売って債券を買い、資産の割合を再び、国内外の株式と債券で4等分になるようにリバランスをする必要が出てきた。国債の買い手を探す高市政権は、GPIFが日本国債を購入することを求めているが、国債の金利は、上昇してきたとはいえ、物価上昇率に比べてそれほど高くない。高市政権の財政拡張によってインフレが高進すれば、逆転して再び実質マイナス金利になる可能性もある。年金財政の改善には、GPIFが独立を保って、資産の最大化を目指すことのできる環境が必要だ。