増える健康シニア、医療費は現役の5倍→4倍

高齢者と現役世代の医療費の差が縮んでいる。80〜84歳の1人あたりの医療費は15年前の2008年に現役世代の5.2倍だったのが、23年は4.3倍になった。健康寿命が延びていることを映す変化だ。シニアの実質的な「若返り」に社会保障制度は対応していない。医療費の窓口負担を75歳以上は原則1割に軽減するといった旧来のルールの見直しが急がれる。
(中略)
収入が年金に限られる70歳以上の高齢者は多く、医療費の負担に対する不安は根強い。日本医師会や自民党の厚労族は高齢者の負担増に慎重な姿勢を崩していない。
(日本経済新聞 6月8日)

この記事は、80~84歳の医療費は昔ほど現役世代に比べて大きくないため、75歳以上の医療費の窓口負担を現役並みにしても、それほど高齢者の負担にはならないので、75歳以上の窓口負担を原則1割に軽減するというルールを廃止すべきだと主張している。

しかし、そもそも、「高齢者は医療費の支出が大きい」あるいは「高齢者は所得が少ない」という理由で医療費の窓口負担の割合を現役世代との間で差をつけることは不合理だ。一定の窓口負担は、無駄な診療を抑制するために必要な制度のひとつであり、限られた医療資源や財源を社会の中で最も必要とされるところに配分するには、窓口負担を過度に低くするべきではない。

窓口負担は年齢によらず一定とし、それで医療にアクセスできない高齢者が生まれるなら、年金の増額や雇用機会の拡大など、所得を増やす政策に税金を投入すべきだ。