定年後も賃金下げない、日立の新たな再雇用制が問う「ジョブ型の本質」

「仕事はさほど変わらないのに給料がガクンと減ったんだよね」。定年を過ぎて再雇用で働く人からよく聞く嘆きだ。
(中略)
日立製作所が4月に実施した改革はそんな風潮に一石を投じた。再雇用のシニア社員に、現役社員と同様の職務に基づくジョブ型報酬制度を導入した。60歳の定年以降も、職務が同じであれば賃金水準は維持される。従来は一般的な企業と同様に給与が下がるケースが大半だった。年齢によらない処遇は70歳まで続く。対象となるシニア社員は約2300人。近年の春季労使交渉の賃上げに匹敵する規模の大きな人件費がかかると想定される。
(日本経済新聞 5月4日)

年齢ではなくジョブの内容と成果によって賃金が決まるのは合理的な人事制度だ。特に、現役社員がジョブ型報酬制度へ移行しているなら、再雇用の社員にこうした制度を導入しない理由はない。職務が同じなら賃金水準も同一にすることで、就労へのモチベーションも維持され、シニア社員の能力活用を促進することができる。

このような再雇用社員へのジョブ型報酬制度が進み、現役社員との賃金水準の差がなくなっていけば、60歳定年の存在意義も薄れていく。成長企業の中には、定年廃止に踏み切る企業もしだいに増えてくるだろう。一方で、成長が鈍化し、かつ、社員の年齢構成が上の世代に偏っている企業では、早期退職の募集による社員の若返りが行われている。今後、団塊ジュニア世代が現役を引退するまでは、この二極化が進む可能性がある。