JALの部長年収3割増、取締役並み 管理職「罰ゲーム」脱却の機運

日本航空(JAL)は2027年度に部長級の年収を最大2500万円に引き上げる。3割増やし取締役並みとする。産業界では管理職の賃上げが若手に比べて遅れており、中堅層の昇進意欲が下がっているとされる。セコムなども待遇改善に動き、中核人材の育成に向けて賃上げの裾野が広がる。4月からJAL管理職の報酬制度を12年の再上場後で初めて大幅に変えた。まず26年度に管理職全体の賃金水準を引き上げる。部長級は現行から最大15%上がり、課長級も最大10%増える。その上で部長級の一部には、特別な成果報酬型の賃金をさらに用意する。
(日本経済新聞 4月27日)

中高年の賃上げが若手に比べて遅れているのは、年功序列からの脱却が進んでいるからだ。同じ職責なら年齢に関わらず同程度の賃金にするというのは公平といえる。しかし、管理職と非管理職との賃金格差が小さくなっているのは、別の問題だ。管理職と非管理職では職責が異なるので、賃金に格差があるのは当然で、問題は、その格差が職責の差との間でバランスが取れているかどうかという点にある。若手の間で管理職に成りたい人が減少しているという現実は、職責の差に比べて、報酬の差が小さすぎることを示唆している。

所得の格差は小さければ小さいほど良いというものではない。競争と進歩を促すには適正な格差は必要だ。努力をしてもしなくてもリターンが同じなら、努力しないことを選択する人は多い。賃金だけが努力のモチベーションではないが、モチベーションを支える主要な要因のひとつであることは確かだ。管理職の処遇は非管理職と有意な差をつけるべきだろう。

ただ、管理職の報酬を上げるとき、その根拠を短期的な目標の達成だけに求めると、組織全体が、短期の成果だけを追求するようになる。目標設定も短期間で確実に成果が出やすいものになりがちだ。企業が本来重視すべき中長期の目標達成へ向けた努力や達成困難だがチャレンジすべき課題への挑戦は避けれられる。人事制度としては、目標と評価基準の設定において、短期、中期、長期のバランスに留意することが重要だ。