働くシニア、労災に備え 持病も「業務で悪化」は対象
60歳以降も働く人が多くなるなか、シニアの労働災害(労災)が増えている。高齢者は一般的に身体機能が衰えたり、集中力が低下したりして傷病を負うリスクが高まりやすいためだ。ただ業務が原因なら、一定の条件で公的な労働災害補償保険(労災保険)の対象になる。持病があっても給付を受けることが可能だ。
(中略)
例えば高齢者で慢性的な症状に悩む人が多い腰痛。仕事中に突発的で急激な力が腰にかかり、既往症の著しい悪化などが医学的に認められると対象になる。突発的な出来事がなくても、作業の状態や期間などからみて徐々に発症したと認められる場合も認定する。
(日本経済新聞 4月18日)
業務が原因なら労災保険の対象となるとはいえ、業務が原因かどうかを客観的に証明することが難しい場合は、本人が労災を申請しないことも多い。事業主の中には、労災を発生させないことが組織の目標になってしまい、災害が起きても労災と認めたがらない事業主もいる。業務が原因かどうかを事業主と争ってまで労災を申請するのは、本人としてもハードルが高い。
26年4月に施行された改正労働安全衛生法では、高齢者の労働災害防止策を事業主の努力義務とした。安全衛生教育に関する条項において、労働者と関係者に、高年齢労働者に特有の特徴と対策についての教育を行うよう努めることを規定している。しかし、業務が原因なら持病があっても労災保険の給付を受けることが可能であることを周知させることも重要だ。労災を予防するための教育だけでなく、災害が発生した後の対処についての教育も行うべきだろう。
