働きたい高齢者と受け入れ側のずれ、制度改正で浮かぶ雇用設計の遅れ
年金制度の見直しが追い風となり、高齢者の就業意欲は確実に高まっている。ただし、その受け皿となる企業側の準備は十分とは言い難い。人手不足が深刻化する中で、労働市場のミスマッチは依然として解消されていない。
株式会社マイスター60が2026年3月、シニアを雇用する企業の人事担当者500人を対象に実施した調査によると、在職老齢年金制度改正の内容を理解している企業の78.1%が、シニア雇用の拡大や勤務条件の見直しを検討していると回答した。一方で、制度を知らない企業では同様の回答は9.9%にとどまり、認知の差が対応の差として表れている。 しかし、実際の雇用設計には遅れがみられる。60歳以上向けに週4日以下の短日数求人を出したことがない企業は52.2%にのぼった。これに対し、別調査では働く意欲のあるシニアの72.0%が週4日以下であれば無理なく働けると回答しており、働き方を巡る需要と供給の間に明確な隔たりがある。
(スポーツ報知 4月17日)
アンケートで「在職老齢年金制度改正の内容を理解している」と回答した企業は、たとえ何も対応していなくても、「シニア雇用の拡大や勤務条件の見直しを検討している」と答えるものだ。制度改正を理解しているのに何も検討していないとは言いにくい。「これから検討しなければいけないとは思っている」という程度でも「検討している」と言うのが普通だ。むしろ、検討していないと回答した 100 – 78.1 = 21.9% の企業は正直だとも言える。「認知の差が対応の差として表れている。」かどうかは分からない。
実際に検討している企業がどの程度存在しているかは別にしても、求人の際の勤務条件の見直しが進んでいないのは事実だ。自社の従業員が高齢になったときにどのような勤務条件を望むかは、調べやすい。しかし、社外に求人を行う場合には、高齢の求職者がどのようなニーズを持っているかを知る機会がないまま、求人側の都合だけで勤務条件を設定することがある。労働市場でのミスマッチを低減させるには、高齢求職者のニーズを統計的に求人企業に伝える仕組みが必要だ。
