インフレ踏まえ老後の家計を考えよう、年金や預貯金は実質目減り

日本では長らく老後の生活費は「現役時代の7割程度」と言われてきた。しかし、近年のようなインフレが続いた場合、それを前提に老後の家計を考えるのは難しくなる。
(中略)
厚生労働省の「令和6年(2024年)財政検証結果」によると、現役世代の手取り年収に対する年金額の割合を示す所得代替率は24年度時点で61%。将来的には50%程度まで低下する可能性も示唆されている。医療費の窓口負担が、今後増える見通しであることにも注意が必要だ。75歳以上が加入する後期高齢者医療制度では、22年から一定以上の所得がある高齢者の窓口負担が1割から2〜3割に引き上げられた。現在は、株式の配当などの金融所得も負担割合の判定に含める方向で議論が進んでいる。
(日本経済新聞 3月27日)

インフレによる年金や預貯金の目減りを認識した上で老後資金の計画を策定すべきだという主張が、マスコミでもよく取り上げられるようになってきた。現役世代の負担軽減が選挙対策として政治的に注目されていることへのアンチテーゼのようにも見えるが、実は、現役世代こそ将来のインフレを意識した資産形成を行わなければならない。

インフレ下で老後の家計を支えるのは、できるだけ長く働くこととインフレに負けない利回りの資産運用だ。既に、高齢になっている人は、これからできるだけ長く働く努力をすることはできるが、ハイリスク・ハイリターンの資産運用は難しい。そもそも、元手となる資産がある程度ないと運用益も大きくならない。加えて、今の若い世代が現役世代の負担軽減を求めるなら、自分が高齢者になったときの負担は、インフレと相まって、より大きくなる。現役世代は早めに運用の元本となる資産の形成に努めるべきだ。