シニア世代で経験豊富な労働者はAIによる雇用喪失で影響を受けにくい
AI(人工知能)は、これまで多くの人が心配してきたような大規模な雇用の喪失をまだ引き起こしていない。少なくとも、経験を積んだ働き手にとっては。これは、ダラス連邦準備銀行のアシスタント・バイスプレジデントであるJ・スコット・デービスがまとめた新たな分析から導き出された結論だ。
(中略)
「AIの影響を受けやすい職種では、実務経験の価値が高まっている。主に教科書や授業で学ぶ知識しか持たず、経験の少ない若い働き手は、厳しい雇用環境に直面する可能性が高い」とデービスは書いている。
(BUSINESS INSIDER 3月13日)
AIが人間の多くの仕事を代替する時代に必要な人材とは、AIの新たな利活用を考える人とAIに学習データを提供できる人だ。
AIを実際の業務に適用するには、AIを知り、AIの能力を最大限に引き出すことのできる新たな業務プロセスを構築する必要がある。それができるのは最新のAIについて専門的な知識のある人材であり、比較的若い人が多い。こうした人材には、高給で求人が殺到している。しかし、若い人がすべてAIの専門家というわけではない。むしろ、大多数の若者はAIと会話して楽しんでいるだけで、AIに関しては素人だ。
一方、経験豊かなベテランは、AIの素人であったとしても、AIに学習させるべきノウハウを持っている。AIが如何に進化しても学習データがなければ、能力は向上しない。インターネット上に公開されている知識は、AIが自動的に収集して学習するが、組織内で、特に、明文化されていない暗黙知は、経験を積んだ人から教えてもらう必要がある。新人教育にOJTが必要なのと同じだ。経験を積んだ人の雇用の喪失が、まだ大規模に起きていない要因の一つはここにある。
