シニア労働者の労災防止策の指針案まとまる、体力に応じた対応などが柱
改正労働安全衛生法で来年4月から、高齢者の労働災害(労災)防止策が企業の努力義務となることを受け、企業が講じる対策の指針案が8日、厚生労働省の有識者らによる検討会でまとまった。
(中略)
指針案には、経営トップによる労災防止対策に取り組む方針の表明をはじめ、職場環境の改善、高齢労働者の健康や体力の把握と対応、安全衛生教育といった内容を盛り込んだ。厚労省の安井省侍郎安全衛生部長は「(指針の)周知徹底を尽くす」と述べた。
企業の対策例としては、対策を労使で話すことをはじめ、健康診断の結果を丁寧に説明して自らの健康状況を把握できる取り組み、体力チェックの実施、労働時間の短縮や深夜業の回数の減少などを挙げた。
(東京新聞 12月8日)
厚生労働者の「高年齢労働者の労働災害防止対策に関する検討会」で議論されてきたのはシニア労働者の労災防止策だが、検討すべきはシニア労働者向けの対策だけではない。この検討会は、かつての「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」の後継組織だが、人生100年時代や高年齢労働者などのキーワードを名前に付けると予算を獲得しやすいという事情もあって、国の検討会では話がシニアにシフトしがちだ。
ただ、ここで対策として提案されている健康診断や体力チェック、あるいは、労働時間の短縮や深夜残業の回数削減は、シニアだけに有効な施策ではない。たとえば、癌などの長期療養が必要な人や障害者にとっても健康や体力のチェックは重要だし、子育てや介護に時間を割く必要のある世代にとっても労働時間や深夜残業における一定の配慮は必要だ。今までの労災対策の問題は、対象が50代以下の男性に偏っていた点にある。労働者の多様化が進む中、労災対策も多様な対象を想定して策定されなければならない。シニアはその一つに過ぎないという認識が大切だ。
