老後資金1億円」目指す資産形成、インフレでどう変わる
老後に向けた長期の資産形成で「1億円」を目標と考える人は少なくない。しかし、これからの1億円達成計画は、額面では終われない。インフレの時代、1億円の価値は次第に目減りしていくからだ。
(中略)
バブル崩壊後の1990年代後半以降、日銀の超低金利政策で預金金利は急低下し0%近くに。ただ、物価が下落傾向だったデフレ下では、たとえ預金金利が0%でも物価変動率を上回っていた。ところが2020年9月〜25年9月の前年比物価上昇率は年平均2.3%で、4%に達する月も。金利が物価に完全に負け、預金の価値は目減りしている。
(日本経済新聞 11月20日)
かつて、老後資金は年金の他に2000万円程度が必要という話が話題になったことがある。しかし、インフレ下では、たとえ1億円の老後資金を持っていても安心できない。インフレで通貨の価値が低減し、物価が上昇するからだ。2015年11月の日本の消費者物価指数(CPI)は総合指数で前年同月比2.9%、生鮮食品を除くコアCPIは同3.0%と日銀が目標としている2%を超え続けている。高市政権が国債増発による積極財政を続ければ、通貨供給量が増大し、さらなる物価上昇を招いてインフレは高進するだろう。そうでなくても、日銀の目標である物価上昇率2%が30年継続すれば、通貨の価値は55%に減少する。
インフレに負けずに資産価値を維持するには、CPIの上昇率を超える利回りを確保する必要がある。しかし、預貯金では難しい。日銀の利上げなどによって金利は上昇傾向にはあるが、個人向け国債の固定金利5年物の金利は1.35%であり、物価上昇率より低く、名目金利からCPIを引いた実質金利はマイナスのままだ。CPIを上回るには、不動産や株、投資信託、金などのリスク資産で運用する他ない。ただ、リスク資産と呼ばれるだけに、元本割れのリスクがあることには注意が必要だ。リスクを抑えながらCPIを上回る利回りを目指しつつ、一方で、健康な間は仕事を続けて、資産の取り崩しを減らすことが求められる。
