資産寿命延ばす取り崩し術、「定率・株式比率高め」がカギ
「資産を運用しながら年に100万円ほど取り崩している」と話すのは高松市の無職男性(68)。「シュノーケルが趣味でときおり海外にも行くため、年約190万円の年金では足りない」。運用資産はバランス型の投資信託や日本株の個別銘柄中心に3000万円弱だ。「最近は株価が好調だが、将来下落が続けば資産が枯渇しないか不安」という。
(日本経済新聞 10月4日)
価額が変動するリスク資産を老後に取り崩すとき、毎月同じ金額を売却して現金化していると、価額が低迷しているときは大きな割合で資産が減ることになるため、資産の減少が早くなる。長く資産を維持するには、定額でなく毎月同じ割合、つまり、定率にした方がよい。ただ、定率にすると、資産価額が下がって手にする現金が少ない時期には、収入が減って生活が厳しくなる。そのような事態に備えて、資産価額が高いときに、売却して得た現金をすべて使わずに預貯金にまわすという手もあるが、これでは、結局、定額で売却しているのと大差ない。
もっとも望ましいのは、配当や分配金のみを現金収入として、株や投資信託などの資産そのものは売却しないことだ。たとえば、高配当の株やリートには4%程度の利回りがつく。3,000万円の資産があれば、年120万円、所得税を払っても96万円の収入だ。それだけで生計を維持するのは難しいものの、年金と合わせれば、多少はゆとりのある生活を送ることができる。加えて、できるだけ長く仕事を続けて、年金や金融以外の所得を得ることができれば、さらに生活は安定するだろう。
