ANA、27年度から定年を65歳に引き上げ
ANA、27年度から定年を65歳に引き上げ
全日本空輸(ANA)は2027年4月から、定年年齢を現行の60歳から65歳に引き上げる。60歳以上でも正社員として扱い、一時金を増やすとともに各種手当も支給して士気向上につなげる。国際線を中心とした事業拡大を目指すなか、専門性の高いベテラン人材を確保し、若手への技能伝承に生かす。
(中略)
定年を65歳に引き上げることで、福利厚生でも正社員と同程度を維持する。年収の水準も整備士やパイロットなど国家資格を持ち、専門性の高い人材なら59歳時点の9割ほどとなる見通しだ。
(日本経済新聞 9月30日)
航空業界では、新型コロナウイルスのパンデミック終息後、パイロットなど資格が必要な人材の不足が深刻だ。航空需要の回復に、人材確保が追い付いていない。特に、日本の航空会社は、円安の影響で円建ての給与水準がドルやユーロなどの外貨建て見た場合に低くなり、外国の航空会社との人材獲得競争で不利になっている。外国の航空会社にパイロットが流出することも珍しくない。若い世代の人材が十分に確保できなければ、現役のシニア人材に長く働いてもらう必要性は高くなる。
今回、ANAは、パイロットだけでなく全社員を対象とした定年延長に踏み切った。程度差こそあれ、どの職種にも若い人材の確保に苦慮している現実はある。再雇用社員の待遇改善よりも定年延長の方が、人材の流出抑止には役に立つ。同様の流れは、他の航空会社にも早晩波及するだろう。
