老後2000万円じゃ不足? 膨らむ介護保険外サービス
介護保険の対象にならない外出支援や家事代行といったサービスの需要が高まっている。一人暮らしの高齢者や働きながら家族を介護する「ビジネスケアラー」の増加で、2050年の市場規模は20年比で2.6倍になる見込みだ。安心して暮らすには以前話題になった「老後2000万円」では足りないかもしれない。
(中略)
訪問介護で保険の対象となるのは①食事や排せつの介助といった身体介護②掃除や洗濯などの家事援助③通院時の乗車・降車援助――などだ。日常生活の支援の範囲を超える草むしりやペットの世話、利用者の家族のための家事は対応しない。
(日本経済新聞 9月28日)
自宅で暮らしている要介護や要支援の高齢者にとって、介護保険は健康な生活を維持する上で必要なサービスをカバーしてくれるものだ。しかし、日常生活を維持する上で十分とは言えない。そのギャップは、家族が同居しているか近くにいれば埋めてくれるが、一人暮らしや高齢者同士の夫婦だけの世帯だとカバーするのは難しい。
そこで利用が拡大しているのが、公的保険外の生活支援サービスだ。公的保険のルールに縛られずに、利用者のニーズに合わせて自由にサービス内容を設定できる点が評価されている。ただ、公的保険外であるため、利用料金は高い。1時間3000〜5000円という現在の相場は年金だけで生活している高齢者にとっては厳しいだろう。健康な高齢者が要介護・要支援の高齢者を助けるという仕組みをシルバー人材センターだけでなく民間企業も含めて構築し、安価で品質の高い生活支援サービスを提供することが今後の課題となる。
