高齢者29.4%で最高更新、就業者の7人に1人

15日の敬老の日にちなんで総務省が14日公表した人口推計によると、65歳以上の高齢者は3619万人だった。総人口に占める割合は29.4%で過去最高を更新し、人口4千万人以上の国の中でトップだ。高齢者の就業者数も930万人と21年連続で増加し、過去最多を更新した。働く人の7人に1人が高齢者だ。元気なお年寄りの増加に加え、少子化による働き手不足も背景にありそうだ。
(共同通信 9月14日)

毎年恒例の総務省の人口推計だが、今年も、65歳以上の高齢者の割合増加が確認された。65歳まで働くことが普通になったとはいえ、65歳以上の人が総人口に占める割合が30%近くになると、65歳未満の人の負担は必然的に大きくなる。選挙対策として政治が現役世代の負担軽減を唱えても、実効ある政策を実施することは不可能だ。財源なき減税などの財政拡張政策では、市中への通貨供給量が増加し、円の価値が減退してインフレと物価高を高進させ、結局、減税以上に物価が高騰し、現役世代を含む国民全体の負担が増える結果となる。

現役世代の負担軽減を実現するには、再分配の世代間割合を変更するのではなく、分配の対象となるパイ全体を大きくすることが欠かせない。そのためには、労働生産性の向上が不可欠だ。特に、定年退職後の労働生産性を上げることは重要だ。60歳の定年後に再雇用で働き続けたとしても、現役時代に比べると生産性は低くなることが多い。定年後も能力を十分に発揮できる雇用機会を用意して生産性を維持できるような人事制度の普及が望まれる。