住宅弱者の高齢者ら支援、改正法施行へ

高齢者をはじめ住宅を借りづらい人たちへの支援を拡充する改正住宅セーフティネット法が10月に施行される。亡くなった居住者の残置物を処分しやすくしたり、自治体による支援体制を強化したりする内容だ。高齢化の進展で、住宅問題は重要な政策課題になると見込まれる。
(日本経済新聞 9月12日)

900万世帯を超えたと言われる独居高齢者は、今後、ますます増加することが予想される。それに伴って、介護だけでなく、住宅も大きな問題となってきた。持ち家に暮らす人は、住む場所には困らないが、亡くなった後に住宅の整理をしてくれる人がいない場合もある。持ち家がない人は、まず、賃貸物件を探すことが難しい。

住宅セーフティネット法は、高齢者、障がい者、低所得者、子育て世帯、被災者など住宅確保が難しい人たちに賃貸住宅を提供するための仕組みを定めるものだ。今回の改正で、大家の不安軽減と市場環境の整備、居住サポート住宅の創設、地域の居住支援体制の強化が行われた。高齢者の場合は、この中でも大家の不安軽減が大きな課題となる。大家が高齢者に貸し渋るのは、孤独死や貧困など、さまざまなリスクが想定されるからだ。今回定められた居住支援法人による残置物処理業務の推進は、大家の不安軽減へ向けて一歩前進ではあるが、十分ではない。たとえば、居住支援法人の役割を拡大して、地域社会とのつながりの強化や就労支援など、家族と同等の支援が行えるようにすることも重要だ。