増えるシニア起業、「引退には早い」と挑戦
ここ数年で増えているシニア起業。2024年に設立された法人の中で、代表者が60代以上の割合は18.6%と2000年以降で過去最高だった。人生100年時代が到来し、多くの人が65歳までに迎える定年後の選択肢として選ばれるようになってきている。
(中略)
こうした伸びの背景には、国や自治体の起業支援策もある。日本政策金融公庫では、55歳以上を対象に、事業を始めるのに必要な設備購入や運転資金に充てられる融資を実施。融資件数は15年度の1625件から24年度は1811件に伸びた。「飲食店、宿泊業」が4分の1を占め、サービス業や「医療、福祉」が続く。担当者は「起業が人生の選択肢として定着してきた。無担保で利率も低くし、融資を利用しやすいようにしている」と話す。
(時事ドットコム 8月31日)
定年後の選択肢としては、今まで勤務してきた職場に再雇用されて働き続けることを選ぶ人が多い。しかし、定年を機に、転職や起業をする人も増えてきた。特に、起業は仕事を選択する自由度が大きいだけに、第二の人生は新たな世界で生きたいと願う人にとっては魅力的な選択肢だ。
ただ、起業は、自分の意思で決める選択の自由が大きい一方で、外部環境の制約によって選択の幅が制約されることもある。市場での認知や資金調達、人材確保など、今まで企業の中で仕事をしている間はあまり気にする必要のなかったことに悩まされるリスクもあることに注意が必要だ。
飲食店や医療、福祉の業界で起業が多いのは、これらのリスクを小さくして始められる業種だからという面もある。これらの業界は、常に一定の需要があり、小さな資本と少ない人員で事業を始めることができる。身の丈に合った起業を目指すシニアにとっては、参入しやすい業界だ。
