埼玉県がシニア活躍支援拡充、「埼玉都民OB」も地域経済の担い手に
埼玉県は地域経済でのシニアの活躍を支援する政策を広げる。専門分野の知見が豊富なシニアを中小企業につなぐ「人材バンク」を立ち上げ、10月には社会課題解決を目指す「ソーシャルビジネス」創業などの実務を伝授する講座を拡充する。同県は東京の企業で働く「埼玉都民」も多く居住しており、退職後に地域経済の担い手として活躍できる体制を整える。
(日本経済新聞 8月25日)
首都圏の人口は、高度経済成長期から一貫して増加し続け、特に、1980年代のバブル期には、都心の地価高騰の余波で東京の周辺地域に移り住む人が増え、神奈川、千葉、埼玉の人口が急激に増えた。80年代に社会人デビューをして東京近郊に住み始めた人たちは、今、60代となって定年退職の時期を迎えている。埼玉都民のシニアは、そのような人々の典型だ。
埼玉都民のシニアには、東京の企業で高度な専門業務を担う中核人材として働いてきた人も多い。中核人材の不足に悩む埼玉の中小企業にとっては、貴重な人材供給源だ。70歳まで、あるいは、それ以上の年齢まで働くことを前提とすれば、正社員として雇用しても不都合はない。シニアにとっても、自身の専門的な知識が活かせる仕事に就き、かつ、地域社会に貢献できることは、充実した第二の人生を生きる上で望ましい。こうした活動は、埼玉県だけでなく、全国の大都市周辺の地方自治体で広がっていくだろう。
