年齢重ねるほど「お金以外」の意味を重視するシニアが多い?
いま、働く高齢者が増えています。総務省の去年の調査では、65歳~69歳の2人に1人以上、70歳~74歳の3人に1人以上が働いているという結果が出ています。そんな中、お金のためだけではない「生きがい就労」という働き方が注目されています。
(中略)
厚生労働省の資料によると、60歳~64歳の男性が仕事をしている理由は「収入がほしい」が65.1%となっています。しかし、それ以降の年齢を見ていくと65歳以降、だんだん「収入」と回答する人の割合が減っていき、「おもしろい」や「健康にいい」という理由が増えています。年齢を重ねるほど、お金以外の意味を重視しているということです。
(MBSテレビ 8月18日)
70歳までと70歳以降は、働く目的だけでなく、仕事の内容も働き方も変わる傾向がある。自営業や農林水産業などを営む人は、それほど変化はないが、企業に勤務する人は、職場を変えたり、時間を短縮したりすることも多い。また、仕事だけでなく生活の仕方も変わる。長期の旅行よりも、家や近隣で楽しむことが多くなり、耐久消費財を新たに購入する機会も少ない。その結果、日々の生活における消費額が減少する。
消費額が減少すれば、収入も少なくて済む。年金受給額が少なくて、生活のために働かざるを得ない人は一定数いるが、一方で、働かなくてもよい人も増える。それでも、そういう人たちの中には、「おもしろい」や「健康にいい」という理由で働き続ける人も多い。
行政による高齢者の雇用機会拡大のための施策は、どちらかといえば、年金を補完する収入を確保して生活保護世帯の増加を抑制するという目的に偏りがちだ。しかし、お金のためだけではなく、健康などのために働きたいと思っている高齢者のための雇用機会拡大も重要なテーマであり、健康寿命の延長によって、医療費の削減にも繋がる施策となる。