シニア層が宿泊旅行をしなかった理由、断トツの第1位は?
仕事の第一線を退き、なかなかできなかった旅で長年の疲れをいやす悠々自適な暮らし-。そんなシニアライフを描く人は多いと思います。しかし、気になるデータがあります。政府観光庁が公表した令和7(2025)年の観光白書。観光目的の宿泊旅行の回数を聞いたところ、年代別で70代以上は「1回も行っていない」との回答が約7割に上りました。注目はその理由です。「観光目的の国内宿泊旅行をしなかった理由」のデータで、70~80代の3位は「混雑する時期に旅行をしたくない」、第2位は「家計の制約がある」でした。ダントツの1位は、他の年代では最下位の「自分の健康上の理由」でした。
(静岡新聞 8月3日)
高齢者は「体が動くうちに旅行に行っておいた方がよい」とよく言う。若い時は、その通りだろうとは思うものの、実感はあまりない。しかし、実際に歳を取ると、多少の後悔の念とともに、その言葉の正しさを改めて認識する。
社会としては、家計の制約はなくても健康上の理由で旅行に行けない高齢者に、旅行に行くという選択肢を与えるべきだ。高齢者が資産を消費に回して経済成長を促すという効果もあるが、何より高齢者自身の精神的な健康によい。保育園や幼稚園に遠足があるように、高齢者施設にもお泊り遠足があっても良いだろう。介護施設では、高齢者が介護補助員として働くケースが増えているが、高齢者の旅行が増えることは、高齢者の旅行に付き添う高齢者という新たな雇用を生む可能性もある。