年10万人の「介護離職」どう防ぐ、国が企業向け指針
超高齢社会で親の介護をしながら働く人が増える中、年間10万人が介護のため仕事を辞めている。企業にとって介護離職を防ぐ対策は急務だが、ノウハウが乏しい。厚生労働省は今月、介護と仕事の両立支援を進めるポイントを示したガイドライン(指針)を策定し、「就業継続を社員と一緒に実現するのがゴールだと理解してほしい」と呼びかけている。
(yomiDr. 7月29日)
高齢化が進むのに伴って要介護者の数も増加している。介護施設も増えてはいるが、すべての要介護者を収容できるほどではない。仮に、介護施設に空きがあっても、経済的に費用を負担することが難しい人もいる。また、介護離職によって収入が減っても、介護施設の費用を払うよりも家計のマイナス幅が少ない場合は、在宅介護を選択することが多い。
介護離職を減らすには、子育てによる離職を防ぐのと同様に、社会が支援するサービスの充実とともに、企業が柔軟な働き方を提供する必要がある。現状では、子育てよりも介護の方が、支援サービスと働き方の両方の面で足りていない。こうした中、厚労省が介護と仕事の両立支援のガイドラインを策定したことは、企業による取り組みの具体化を促進する上で役立つ。
ただ、従業員が柔軟な働き方を求める要因は、介護や子育てだけでない。孫の育児や本人の健康状態など、働き方の多様化を求める要因もまた多様だ。人事制度の設計においては、要因の多様性も意識した上で、包括的な制度を構築することが望まれる。