団塊世代は75歳、賃上げ届かぬシニアに仕事が必要

あまり知られていない事実として、70歳以上世帯の急増がある。「2025年問題」と言えば、医療・介護負担が増えることをイメージする人は多いが、高齢化とともに無職世帯がじわじわ増加していることには気付きにくい。無職世帯の増加は、家計の所得形成力を低下させて、新しい経済格差を生じさせる。政治がばらまきに走るのも、そうした構造変化の影響があるからだろう。
(TBS CROSS DIG 7月29日)

70歳までの雇用機会の提供が進んでいるとはいえ、70歳を超えると無職の人が多くなる。したがって、人口全体に占める70歳以上の人の割合が高くなると、無職世帯の割合も高くなっていく。出生率の改善が見込めない中、無職世帯の増加を食い止めるのは難しいが、70歳以上でも働ける社会づくりを進めて、無職世帯の増加率を少しでも抑制する必要がある。AIやITを駆使して、認知機能や体力が衰えても社会とつながって働くことのできる環境を整えることは、今や、夢物語ではない。

また、最低賃金の上昇は、労働者の所得を増やす要因にはなっているが、一方で、高齢者や障害者のように、高い賃金に見合う高い付加価値を生めない人々の雇用機会を奪う原因にもなっている。人の働き方に多様性が求められるように、最低賃金制度にも多様性が必要だ。