投資は家計・資産の防衛策、シニアは目標利益高め
投資は今や資産防衛の柱で、シニアは意外にアグレッシブ――9000人超が回答した日経マネーの個人投資家調査2025で、世代別に投資スタイルを分析すると、こんな結果が明らかになった。全年齢で2割近くの人が「インフレ対策」を投資目的に挙げ、シニア世代ほど趣味と実益を兼ねる様子が明らかだ。個人投資家調査に回答した人の金融資産残高をみると、やはり年齢が高いほど多い傾向がある。3000万円以上の資産を持つ人が、40代以下は1割に満たないのに対し、60代は26%、70代以上は42%いる。
(中略)
教科書通りの投資手法では、年齢が高まるほど資産構成のリスクを避けるのが望ましいとされるが、実際はシニア世代の方が投資にアグレッシブな傾向があるようだ。
(日本経済新聞 7月8日)
この調査の対象は個人投資家なので、シニアはアグレッシブという結果が出ても、それほど意外ではないかもしれない。年齢と投資スタイルの間には、年齢が高いほど投資スタイルがアグレッシブという相関関係があるのは確かだが、だからと言って、年齢が高いからアグレッシブになる因果関係が成り立つわけではない。当然、アグレッシブだから年齢が高くなるという逆の因果関係も成立しないだろう。
個人投資家と言われるからには、一定程度の金融資産を持っている人たちだ。この調査の対象になったシニアは投資できるだけの金融資産を持っている層に限定されている。金融資産を持っている層だけに絞れば、金融資産残高の多い人ほど、日々の生活に困っていないので、アグレッシブに投資する。つまり、アグレッシブである原因は、年齢というより、金融資産残高が多いことにある。そして、高齢の投資家ほど多くの金融資産を保有している傾向がある。投資に失敗して市場から退場した人は高齢になるまで投資家でいられない。高齢の投資家ということは、長年、投資に成功して資産を増やしてきた人だという証でもある。
「金融資産が多い人はアグレッシブに投資する。」そして、「高齢の投資家は金融資産が多い。」だから、「高齢の投資家はアグレッシブに投資する。」という三段論法は成り立つ。ただし、ここで忘れてはならないのは、投資家に限定せず、シニア全体を母集団として考えた場合、その中で、自由に使える金融資産を潤沢に持っているシニアはそれほど多くないという事実だ。