50代転職の成功への道は、年収アップは後からついてくる
転職といえば若い人がするものというイメージが一般的だったが、ここにきて中高年の転職が際立っている。なかでも顕著なのが50代。リクルートグループのリクルートエージェントによると、2024年までの10年間で同社に登録した転職者の総数は約3倍に増加した。40代と50代の合計は約6倍で、50代に限ると12倍にもなる。法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔教授は「政府の公式調査データを見ても、ここ10年ほどで50代の転職は確実に増えている」と話す。背景には大企業による早期退職制度、人生100年時代を前提にチャレンジを考える人が増えたこと、企業側が50代を即戦力になる専門職として求めるようになったことが挙げられるという。
(日本経済新聞 6月25日)
50代の転職が増えている理由には様々なものがある。黒字でもリストラのために早期退職を募集する大企業が増えたり、役職定年で給与が下がることを契機に転職を考える人が多くなったりと、労働市場における50代の供給が増加しているのも理由のひとつだ。ただ、より大きな影響を与えている要因としては、企業が50代の採用を増やしている、つまり、需要が大きくなっていることが挙げられる。需要があるから、転職しようと思い立つ50代も増え、供給も増えてきた。
65歳まで働くことが普通になったことで、50代で転職しても、転職先で10年前後働くことができるようになった。求人を出す企業としても、短期間の人手不足対策ではなく、長期的に中核を担う人材の補完として採用することができる。この変化に伴い、必要とされる人材も、単純作業を手伝ってくれる人から、組織の中核で必要とされる業務をマネジメントする能力を持った人にシフトしてきた。シニアの転職における選択肢が広がっているとも言え、これも、シニアを転職に向かわせる動機のひとつとなっている。