老後資金、自宅担保は慎重に

日銀の政策金利の引き上げに伴い、シニア世代が自宅を担保にお金を借りるリバースモーゲージの適用金利が上昇してきた。借入期間中は利息のみを返すため、目先の返済負担が少なくすむメリットがある一方、総返済額は増えやすい点に注意が必要だ。商品をよく理解して利用したい。
(日本経済新聞 6月28日)

リバースモーゲージは、便利な現金調達手段ではある。自宅は所有しているが現金が足りない場合、自宅を担保に融資を受ければ、当座を凌ぐ助けになる。しかし、金利が上昇すると返済額が大きくなり、返済できなくなる可能性があることに注意が必要だ。日本では異次元の金融緩和が長く続き、超低金利が常態化していたため、金利の上昇リスクを軽視してリバースモーゲージを組む人も多かった。

しかし、今や日本も金利のある世界に戻った。日銀の利上げのスピードは遅いものの、参院選で与党が過半数割れしたことで、消費税減税による財政悪化の可能性が高まり、それを懸念する金融市場では、日本国債が売られ、日本国債の金利は上昇している。リバースモーゲージを利用している高齢者の返済負担は、今後、さらに上昇するだろう。健康な間はできるだけ働き、働けなくなってからリバースモーゲージを利用するなど、人生の最期におけるリバースモーゲージの利用期間を短くするいうのも、リスクヘッジとしては一案だ。