中高年に広がる転職、50代で4割が年収アップ

転職が中高年に広がっている。総務省の労働力調査によると年齢層別の転職者の伸びは45歳以上で目立つ。高齢化や人手不足に加え、働き方に対する意識も変化している。転職後に年収がアップした人の割合も50代で4割ほどに上がったとの民間調査もある。「35歳転職限界説」は過去の話の様相だ。
(日本経済新聞 6月4日)

転職者数で比較すれば、依然として35歳未満が多いが、伸び率では45歳以上が大きくなっている。大企業が、黒字であっても構造改革のために希望退職を募り、中高年を労働市場に供給していることもあるが、退職年齢が上がっていることの影響も大きい。65歳まで働く前提であれば、50歳で転職しても、転職先で15年間働くことができる。求職者にとって、新しい人生を生きるのに十分に長い時間だ。

退職までの就労期間が長くなったことは、求人する企業にとっても、中高年の採用が、足元の人手不足の解消だけでなく、長期的に組織の中核を担ってもらうことも期待できる環境になってきたことを意味する。さらに、自社に不足している専門的な経験とノウハウを持っている人材であれば、即戦力としての魅力は高くなり、好待遇を提示してでも採用したいところだ。50代で転職後の年収が増えるケースは、今後も増加していくだろう。