高齢単身世帯が招く人手不足、生活サービスを誰が担う
高齢化を背景とした単身世帯の増加は生活サービスの需要を押し上げ、人手不足に拍車をかける要因になる――。民間の調査研究機関がそんな警鐘を鳴らす研究結果をまとめた。世帯数や世帯構成の動向を切り口に、消費と労働市場の構造変化に迫った分析は示唆に富む。人手不足を深刻にしている原因がみえてくれば、効果を上げやすい対策を打てる可能性も高まる。
(日本経済新聞 6月3日)
高齢者であるか否かを問わず、単身世帯が増えると、世帯単位に提供しているガス、電気、水道なのどのインフラサービスや郵便や宅配などの物流サービスの効率は悪くなる。高齢者の単身世帯の場合は、これらに加えて、介護サービスなどの需要が増加するという影響もある。需要が大きくなるということは、それだけ経済成長の余地が大きくなるということではあるが、労働人口が減少する中、労働生産性が低い仕事が増えると、社会全体の生産性が低下して、経済成長は阻害され、逆に、経済が縮小する可能性も小さくない。
この問題の解決は難しいが、単身世帯が、地理的に分散しているのではなく、集合住宅などに集約されたり、コンパクトな住宅街に居住したりしていれば、各種サービスを提供する効率は向上する。また、介護については、健康な高齢者が介護サービスの提供者側になれれば、人手不足を緩和につながるだろう。工夫の余地はまだ残っている。