高齢求職者が4月最高水準、年金抑制の影響も
厚生労働省が30日発表した一般職業紹介状況によると、4月に新規求職者として申し込んだ65歳以上の高齢者は12万3179人だった。前年同月より5.6%増え、記録がある1997年以降で最多となった。物価高が続くが、年金額の伸びは抑えられている。不足する生活費を補うため働こうとする動きが広がっているとみられる。
(日本経済新聞 5月30日)
厚生労働省の一般職業紹介状況とは、公共職業安定所 (ハローワーク)における求人、求職、就職の状況を取りまとめた統計調査のことだ。65歳の年度末まで働く人が多くなったことで、退職直後の4月に新規求職者として申し込む高齢者は増えてきた。求職者のすべてが積極的に再就職先を見つけようとしているわけではないが、失業給付を受けるためには、ハローワークで求職活動をする必要がある。ただ、まずは失業給付を受けとることを目的として登録した高齢者も、そこで自分に合った仕事が見つかれば、再就職しようとするケースが増えてきた。マクロ経済スライド制度によって、物価上昇よりも年金の増額が抑制されている以上、物価上昇局面では、長く働き続ける必要性が高まってくる。
問題は、自分に合った仕事が見つかるかどうかだ。ハローワークも高齢者向けの窓口を設置するなど、企業とのより良いマッチングに努めているが、今なお、求人側と求職者との間にはニーズのギャップがある。求職者に対してリスキニングの機会も提供されているが、さらに、ギャップを埋めるには、企業側にも高齢者の活用へ向けた啓蒙活動を行い、求人する業務の拡大を図る必要があるだろう。