AI老人ホーム、誰でも高品質ケア

熊本市で1月、人工知能(AI)を活用した老人ホームが開業した。認知機能の低下による暴言や介護拒否といった言動を示す入居者への対応にAIを使う。
(中略)
介護大手のベネッセスタイルケア(東京・新宿)が運営する「メディカル・リハビリホーム グランダ水前寺」ではスタッフがパソコンやタブレット端末に入居者の介護記録を入力すると、センサーで集めた睡眠や排便、服薬内容などのデータと重ね合わせてAIが内容を分析。最適なケアの方法を提案してくれる。
(日本経済新聞 5月8日)

AIを使って経験が浅い従業員でも経験豊富な先輩と同様のパフォーマンスを発揮できるようにする取り組みが様々な業界で進んでいる。介護もそのひとつだ。今までは、マニュアルや口頭による指導、あるいは、見様見真似で人材教育が行われてきたが、今やAIが専属のトレーナーの役割を果たすようになってきた。人間のトレーナーを一人ずつ付けるのはコストがかかるが、AIなら人件費はかからず能力も均質だ。

ただ、AIを活用するには、AIを学習させるためのデータが必要になる。介護業界の場合、自然言語、つまり、言葉で記述された介護記録ぐらいしか学習データがなかったが、介護用機器のデジタル化が進み、各種のセンサーからデータを収集することができるようになった。加えて、大規模言語モデルなどの新技術の登場により、AIが、自然言語で書かれた介護記録を読んでその内容を理解し、分析結果を自然言語で利用者に伝えることも可能になった。その結果、従来に比べて、学習データの量も質も向上している。このような業務環境の変化は、他の業界でも同様だ。介護業界のAI活用は、他の業界の参考にもなる。